蔵人尚子の奮闘記

伝統受け継ぐ蔵元の長女として酒造りの世界に飛び込みました。蔵人見習い3年目、旨い酒を醸すべく奮闘中!

2008.04.07(Mon)

どうなる、日本酒需要

4月4日の醸界タイムスの記事です。

『2月分全国清酒出荷状況 5万3千klで5.8%増』


記事を抜粋しますと、

日本酒造組合中央会の集計によると、前年の出荷数量に比べ5・8%も上回る5万3千klを出荷した。厳寒の追い風を受けて、2月の全国清酒出荷数量がかなり昨年をクリアする、との期待どおりの結果となった。・・・・・・すべてのタイプの清酒が前年より増加した。とりわけ一般酒が前年を上回ったの注目され、純米酒の堅調振りもさらに目立ってきている。

・・・・・・その要因は(1)2月は全国的に厳寒の追い風を受けたこと(2)前年2月の出荷数量が少なく、それとの対比−−などによるもので、清酒需要にとって大事な寒冷が厳しかったことが幸いした。

・・・・・・全国的に出荷状況を眺めても▽東京局管内4県=前年比13・8%増▽関東信越局管内6県=3・3%増(群馬県のみ減少)(長野県:4.4%増)・・・・・・ほとんど全国税局管内にわたって前年を上回った。

また、2月分のタイプ別清酒出荷数量(前年対比)は▽吟醸酒=2698kl(4・5%増)▽純米吟醸酒=1538kl(5・8%増)▽純米酒=4341kl(8・2%増)▽本醸造酒=5220kl(0・2%の微増)▽一般酒=4万689kl(6・4%増<うち生酒は3011klで4・8%増>)−−となっており、一般酒の増加が目立ち、すべてのタイプの清酒がプラスとなったのは珍しい。

とのことです。

まぁ、単月で前年同月比を見ているだけなので、
楽観視するものではないのでしょうが、
出荷実数が昨年の2月よりは増えたのは事実なのです。

一般酒の増加も大きいのは素晴らしいことですし、
特定名称酒が増えていると言うのは、
より美味い日本酒を求める消費者の方々が増えてきたと言うことなのでしょう。

そして、特定名称酒が美味い蔵は一般酒も美味いのだと思います。

日本酒の需要を支えてくださっているのは、
日本酒愛好家の皆さんであり、
更には毎日晩酌で日本酒を飲んで下さっているお父さんたちなのです。

実際、うちの蔵でも出荷量は一般酒が一番多いのです。

金額的には安いお酒かもしれないけれど、
それでも酒類の中で『日本酒』を選んでいただけ、
毎日の日課として飲んでいただけるのは、大きな需要のひとつだと思います。

一般酒であっても特定名称酒であっても、
日本酒であることには変わりありません。
ただ、三増酒や合成酒ではダメなのですが…。

より美味い日本酒を世に出していくことが、
日本酒愛好家の底辺を広げる為の、酒蔵の責務だと感じます。



◇◇◇日本酒は毎日呑んでも飽きません◇◇◇
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  1. 2008/04/07(月) 22:00:52|
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2008.04.04(Fri)

熟成・品質管理その(1)

今日は若葉会の会議があり、長野へ行ってきました。
本日の議題はいくつもあったのですが、
最後に『品質管理・熟成』についての議論がなされました。

そもそも、一般消費者の皆さんは、お酒がいつ造られているかご存知ですか???
日本酒愛好家の皆さんなら当然ご存知だと思うのですが、
恐らく日本人の成人の皆さんに広くアンケートをしたとしたら、
明確に『冬季』であると答えられる方は凄く少ないのではないかと思います。

更には、日本酒にもAging Potentialといった概念
(要するに熟成による味わいの変化とでも言いましょうか)が
あることも案外知られていないのではないかと思います。

例えば、ワインであれば当然の様にvintageが瓶に記載されており、
その年のぶどうの出来がどうだとか、気候がこうだとか言われますよね。
で、200X年のワインはもう少し熟成させた方が良いとか悪いとか。

日本酒も全く同じなのです。

以前に一度記事に書いたことがあったのですが、
2008年1月30日『若いのがお好き?!』へ
新酒(冬)→3ヶ月熟成(春)→初呑切り(夏)→ひやおろし(秋)→長期熟成(その後)
って言うような感じで、ひとつのお酒の表情も様々。
季節を経るだけでもおもしろい程にお酒の表情は変化し、
それが1年-2年-3年---10年と時間が経つにつれ、またいい表情を出してくれるのです。

しかもその変化も貯蔵温度が氷温か0度か5度か10度か、
はたまた常温かによっても全く違うんです。
だからこそ、日本酒って言うのは醸造しただけで終わりではなく、
その後の貯蔵熟成期間と言うものが、醸造と同じもしくはそれ以上に重要なのです。
せっかくいいお酒がしぼれても、それを生かすも殺すも貯蔵次第。

3年、5年後の出荷を狙って、
あえて新酒では出荷しないお酒を造っている蔵元さんもあります。
それは、貯蔵熟成技術にかけているということですよね。

でもでもでも、そのことが意外と一般消費者の方々に伝わっていないのですね。
頑張って訴求はしているつもりですが、まだまだ足りていないのです。

蔵元としてはお客様のお手元に最良の品質でお届けしたいと考えています。
その為に、色んな努力を各蔵元さんは行っているのです。

タンクで貯蔵するのではなく、瓶詰した状態で貯蔵することも、
最良の品質を求める為には必要不可欠なことだと思います。

と言うわけで、またまた長くなってしまったので、
その(2)へつづく…ということにしたいと思います。


ところで、
最近食品の問題があれこれ話題にのぼるようになり、
『お酒の賞味期限はいつまでですか???』
『前にいただいたお酒がそのままあるのですが飲めますか???』
と言ったお問い合わせが以前よりも増えたように感じます。

もちろん、ご家庭で不本意に時を経過させてしまったお酒は、
もしかしたら劣化に近い状態になっているかもしれません。
温度だって紫外線だって、気をつかってあげなくては劣化してしまいます。

でも仮に、
『箱に入ったまま冷蔵庫に入っていました。』
『押入れの奥にしまったまま忘れていました。』
なんていうお酒は、いい表情をかもし出している可能性も高いかもなのです。

ただ、この劣化ということも『おいしく飲めない状態』ということであって、
『身体に害を与える』ような状態には決してならないのが、日本酒の特徴なのです。
だからこそ、消費者の皆さんに混乱を与えてしまっているのかも知れませんね。




◇◇◇新酒ばかり飲んでいる時にふと熟成酒を飲むと…◇◇◇
◇◇◇なんだかホッとした気持ちになります◇◇◇
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  1. 2008/04/04(金) 22:46:40|
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2008.04.01(Tue)

シリーズ『吟醸』その(3)

そんなわけで、やたらめったら長い記事になってしまいました。
最後まで読んでくださった皆様、ありがとうございました。

ここ1週間程度はそんな感じで『吟醸』に対して悶々と考える日々。
杜氏や頭に生意気承知で前回書いたようなことをつらつらと話してみました。

まずまずの反応ってところでしょうか。
『まだそんなこと提案するには早すぎるっ!!!』
と怒られるわけでもなく、
『確かにそうだよなぁ、まだまだ出来ることは山ほどあるよなぁ。』と。

前向きに色々なことを考えてもらえるようで、ホッとしました。

ホントは杜氏から『尚ちゃん、来季はこうしよう!!!』
と言ってもらいたい気持ちもありますが、
杜氏は杜氏でそれなりの考えがあってのことなのでしょう。

頭も、寡黙な人で口数が少なく、
なかなか考えていることを読み取るのが難しいのですが、
それでも正直に思っていることを伝えると、
すっごく的確な応えが、端的に返ってくるのです。


で、4月15日は松本で行われる『吟醸を楽しむ会』があります。
秋の『ひやおろしを楽しむ会』新春の『しぼりたてを楽しむ会』に続き、
3度目の企画です。

私も『自慢の吟醸を携えて意気揚々と参加しますっ!!!』
と言いたいところですが、
ここでグチグチ書いているのでお察しの通り、
満足できていない吟醸を携えてお客様の前へ行くのが、
どうしても乗り気になれていなかったのです。
他に参加する蔵元さんは素晴らしい吟醸を造っているので…。

と言うわけで、参加を辞退しようと申し出てみたのですが、
幸い、事務局のおばちゃんに言いくるめられ、
やっぱり参加することにしました。

ホント幸いだったと思います。
このまま、出来に満足できていないのを理由に会の参加を辞退していたら、
結局は自分の酒の現状を目の当たりにすることなく終わってしまうのですね。

県の鑑評会では専門家の評価をいただいたので、
今度は一般消費者の方々の評価をしっかりいただいてきたいと思います。



◇◇◇出品も終わり、蔵のお掃除に集中できそうです◇◇◇
◇◇◇今年の造りが無事に終了できることに感謝を込めて◇◇◇
◇◇◇丁寧に道具を洗いたいと思います◇◇◇
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  1. 2008/04/01(火) 23:58:03|
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2008.03.31(Mon)

シリーズ『吟醸』その(2)

えっと、30日(日)は蔵の仕事もお休み。
と言うわけで、少し遠いですが上田の沓掛酒造へ行ってまいりました。

なぜかと言うと、沓掛酒造の山崎杜氏はうちの杜氏と兄弟弟子で、
小谷村の自宅もうちの杜氏のすぐお隣で、
また、沓掛酒造のお頭さんはうちのお頭のお兄さんで…なんていうご縁で、
かわいがっていただいているので、図々しくご教授いただこうと。

うちの杜氏は『純米造りと吟醸造りでは土俵が違う』と言うポリシーで、
吟醸に対してはそれ程執着していないと言うか、
昔から吟醸の世界にいる杜氏さん方々と比べれば、
やはり吟醸は苦手分野であると言うか…。

とにかく、前回にも書いたように、うちの蔵は
新酒鑑評会に出品すれば劣等生になってしまうのです。


でもでも、本当に今回は悔しかった。
うちの蔵ながらに、かなり真剣に取り組んだ吟醸でしたが、
『毎年同じ蔵癖が出て、やっぱりダメですね。』なんて、
年々の進歩も感じられないような評価をいただいてしまい…。

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ただ、今年の吟醸造りを終えて、
私の中では何か物足りなさを感じていたのです。
(蔵中がすっごく真剣に取り組んでいたのに…。)

洗米から蒸米の晒し、製麹の方法、仕込みのタイミング、
様々な行程に於いて、今回の方法がうちの蔵にとって本当に最善の策であったのか。
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具体的に言えば、まずは酵母の選択。
そして、吸水(洗米)の程度、蒸米の質。
麹を室から出すタイミング。
更には、原点回帰で『清潔さ』、などなどなどなど…。

【酵母】
精査している蔵ではもうすでに去年までの長野酵母は使っていない。
お金をかけてでもより良い酵母を使っている。
→今年使った酵母が本当によかったのか…?

【吸水】
今季の米はよく水を吸った。
→もっともっと洗米時間をシビアに考えなくてはならなかったのでは…?

【洗米・浸漬】
洗米・浸漬をひとつの半切れで行っている。
→洗米した水は取り替えてから浸漬しなくてはならなかったのでは…?
→もとより、もっとしっかり洗米しなくてはならなかったのでは…?

【麹】
吟醸用の麹にしては、破精(はぜ)込み(麹菌糸の食い込み)が良かった。
→もっと乾燥させてもよいのでは…?
→酵素力価のバランスが悪かったのでは…?
→そもそもの製麹方法を改善すべきなのでは…?

【清潔さ】
もちろん手洗い励行ではあるが、不十分さを感じる。
→壁や床、器具等の消毒はどの程度が適当なのか…?
→今の心掛けでは不十分なのか…?

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それぞれ、私の中では初めて気がついたことばかりです。
今年の吟醸造りを見ていて疑問に感じていたことを、
昨日山崎杜氏に質問としてぶつけてみたのです。
そうしたら、やはり私が疑問に感じていたことがそれなりに指摘されたのです。

ってことは、それらを改善すればよりよい吟醸造りを実現できるのかも。
もちろん、山崎杜氏の技術がうちの蔵でも正しいとは限りません。
環境が違えば、水も違うし、技術者自身が違うので。
(だからこそ、様々な地酒があって然るべきなのですが。)

でもでも、今うちの蔵で吟醸として結果が出せていないのであれば、
盗み取ってでも実行してみるべきことは山ほどあるのだと思います。


今季、去年までの考えとほぼ180度変わったことがいくつかあります。

◇長野県/全国新酒鑑評会に出品する限りは、その土俵で勝負できる酒を出すべきである。
 (去年まではとりあえず出品していた感がある。)
 (鑑評会の評価方法にそぐわないので、受賞できなくても仕方ないだろうと考えていた。)

◇鑑評会の評価方法には多少の疑問は残るが、
 味にふくらみがあり且つ無駄のない酒が評価されている。
 (ただ綺麗であれば評価されると勘違いしていた。)

◇いい吟醸が造れる技術者はいい純米も造れる。
 (純米造りと吟醸造りは正反対だと思っていた。)


来季の造りでは徹底的に改善点を洗い出し、
これまでのやり方が良いのであれば、それをもっと追求し、
少しでもいい吟醸造りに近づければと思っています。
で、うまくいけば純米吟醸で出品できるまでに研鑽したいと思います。
私ひとりの力ではまだまだ遠い夢のような話ですが、
杜氏や頭と同じ気持ちを共有することが出来そうなのです。


アル添すれば、酸味や雑味も薄まるので、
多少味が多くなったとしてもまだアル添で救済できる可能性があります。

でも純米酒と言うのは、醪の状態での真っ向勝負になります。
醪から上槽後まで、何一つ手を加えることが出来ないのです。
と言うことは、本当に醪で最善の状態でなければならないということなのです。

ってことは、やっぱり米を溶かしすぎず、
雑味を出さない酒を目指したいものなのです。
でも、それって薄っぺらい酒と紙一重なんですよね。
そこが、すっごく難しいところなんだと思います。

キレのある酒を目指せば、味気のない酒になってしまい。
ふくらみのある味わいを目指せば、味が多すぎてしまい。
香りを抑えようと思えば、なくなりすぎてしまい。
酸味と甘味のバランスを取ろうとすれば、どちらかが浮いてしまい。

だけれども、うちの蔵としての個性は失いたくない。
在り来たりの酒は造りたくない。


ま、とにかく一筋縄ではいかないってことですね。酒造り。
今季が終わっても、私なんてまだまだ3回しか酒造りをしていません。
3回ですよ。
こんなに色んなことを感じ取れたと思っていても、たった3回。
未熟者もいいところです。

でも、今回山崎杜氏の言葉に、自信に溢れる目に感動した。
そして、背筋がピンと張った。


『自分が本当に求めている酒を自分で造れてこそ、本当の技術者である。』


わたし、いつになったら本当の技術者になれるんだろう。
まだまだ高望みではありますが、
『目標は大きく。失敗も大きく。その分前進も大きく。』
さぁ、いってみよぉ!!!



◇◇◇出る杭は打たれるが、出すぎた杭は打たれない◇◇◇
◇◇◇帰りに立ち寄った酒販店さんの心強い言葉です◇◇◇
◇◇◇今だからできること、今しか出来ないこと◇◇◇
◇◇◇失敗は多いだろうけど、失敗は成功以上に自分を成長させてくれると思う◇◇◇
◇◇◇(((((人気blogランキング)))))参加中です!!! ◇◇◇

  1. 2008/03/31(月) 21:10:05|
  2. sake|
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2008.03.30(Sun)

シリーズ『吟醸』その(2)予告

いっぱい書きたいことがあるのですが、
本日は諸事情により、blog更新をあきらめました。
明日、じっくり時間をかけて書きたいと思います。
  1. 2008/03/30(日) 23:51:01|
  2. sake|
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