蔵人尚子の奮闘記

伝統受け継ぐ蔵元の長女として酒造りの世界に飛び込みました。蔵人見習い3年目、旨い酒を醸すべく奮闘中!

2007.10.15(Mon)

日本酒造りって伝統技術なの???

最近、そんな事をふと考えることが多くなり、
少ない経験をもとに頭を悩ませることが時たまあります。
と言うのも、しばらく前ですが、『専務取締役杜氏の純米酒ブログ』の中で、
『リセット』
と言う記事を読んだ時、長野県の大先輩である杜氏さんが、
何故純米酒造りを始めたのか、そこに至るまでにどれだけ苦労を重ねてきたのか、
私がこんな経験の少ない状態で考える以上のことを読み取ることができたからです。
そして、恐らく日本酒業界の大半の人が感じていることを書いているのです。

『日本酒のリセットボタンを押したらどこまで戻るのか』


これは私がここしばらく感じている疑問に似ているなと思ったのです。

『日本酒が伝統と言われる所以は一体どこにあるのだろうか』


以前に書いた、アル添(三増酒)のことにしろ、
そもそもそれらを始めた目的を今では見ないふりをして、
そこから得られた結果だけを正当化して現在も続けていますよね。
必要がなくなった時点でやめていればよかったものの、いまだに健在である。
アル添の技術は戦前からのものですから、
その技術の歴史はまだ70年程度のものしかないのです。

日本酒の起源をたどれば、現在の製造方法とほぼ変わらないものが
927年の延喜式に記載されている様で、この頃には麹もしっかり使われていたのです。
1400年代には段仕込や乳酸菌発酵、火入の技術までもが記録されており、
想像するに、今とほぼ変わらない状態で酒造りが行われていたのでしょう。
それは少しさかのぼり過ぎだよって言われるかもしれませんが、
この頃からの技術の研鑽・継承があるからこそ、
それが明治時代に入ってから科学的根拠で裏づけされて、
より再現性が高く、質の高い日本酒が造られるようになったのだと思います。

ただ、日本酒と言うのは時代の流れや政府(税制)の影響をすっごく受けているもので、
本来『酒本位』で造り続けられなければならないものであるはずなのに、
周囲の環境によってあまりに踊らされすぎたのかな〜なんて感じます。

実際、戦後しばらくは米も配給制であり、酒造場も石高によって
米が割り当てられるような時代がありました。
となれば、どんなにまずくても流通する酒の量は限られており、
しかも貧しい時代であれば、『アルコールなら、酔えれば何でもいい。』
なんて言う消費者嗜好にもなってしまいますよね。
国の方針とは言え、三増酒が横行しすぎ、その結果日本酒のイメージを自ら悪くし、
その頃からのイメージや消費低迷を現在まで引張ってきているのではないでしょうか。

で、『日本酒が伝統と言われる所以』について考えたのですが、
ここ最近の歴史を見ると、私が伝統である所以と考える『純米酒』が
あまりにないがしろにされすぎていないかなってことです。
だからこそ、『伝統』って何だろうって考えてしまうのです。
今でこそ、専務取締役杜氏の純米酒ブログにもある様に、
純米酒が本来の日本酒の姿であるべきと、純米酒に力を入れる蔵元さんが増えていますが、
実はその技術を研鑽しているのは、それに気づいた新しい杜氏さんたちで、
それに気づかない杜氏さんたちは、
やはりアル添酒が本来の酒である(なんて考える以前に気づいていない)のでしょう。
そして、まだまだそんな方が大多数を占めているのではと思います。

確かに、先に書いたように製造『方法』の基本形としては
純米酒であれアル添酒であれ同じ様に受け継がれてきています。
でも、それを製造『技術』として考えた場合、
杜氏さんの経験に頼って五感をフルに生かして手造りをすることが技術であり、
アル添酒をいかにうまく造るかなんてことは調整であって技術ではないと思います。
モニターを見ながらボタン操作をすることが技術であると考える蔵元さんもあると思います。
蔵元の方針ややり方によって『技術』の意味があまりに違いすぎる気がします。

日本酒業界は自分たちで消費低迷を起こし続けてきたのだから、
それを復活させる為にはやはり自分たちで倍の時間をかけて行わなくてはならないのです。
本当の伝統技術として日本人に認められ、『私の国にはこんなに素晴しいお酒があるんだよ!!!』
と、胸を張って言ってくれる人たちがもっと増えるように、
あまりに崩れすぎた伝統を取り返したいなと心の底から感じます。

私がこの業界に入った時にはもうそんな声が色々なところから聞こえ、
最初の印象は『おっ!?日本酒業界ってまだまだ先が明るいな。』でした。
ネガティブなことばかり言っている様に感じていたので、
そんな風に業界内に入ってこそ感じることができたので、とても幸せでした。

諸先輩方が声を大にして日本酒の復活に力を注いでいるので、
私もまずは本来あるべき日本酒の姿を探し続け、
そして同じ様に声を大にして日本酒をPRしていきたいと思います。

その為にはある程度自分のお酒が世間に認められ始めなければ、
説得力に欠けてしまうんですよね〜(^^ゞ
要するに、自分がどんなことを考えても、
まずは『いい酒を造り、認められる。』ことが大大大前提なのです。



◆◆◆山ほど書いてすいません…よくわからん文章ですね◆◆◆
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  1. 2007/10/15(月) 00:35:47|
  2. sake|
  3. トラックバック:0|
  4. コメント:13
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コメント

世界に誇れるうまい酒が日本にはあるのに・・・アル添にしてしまうと世界では酒としては認められないようですね。
 だとしたらやはり日本酒の本来ある姿は「純米酒」なんですね!それにしても凄い昔から日本酒はあったんですね!すごい日本の酒の歴史、文化ですね!!
 あと問題はアル添について、いいか悪いかという前に知らない人が多いということじゃないでしょーか。それを日本中の酒飲みが知ったとこでどーいう判断するんだろーって興味あります!
  1. 2007/10/15(月) 01:57:49 |
  2. URL |
  3. 梅太郎 #4X7twCO2
  4. [編集]

いやぁ、中途半端な拙ブログを紹介してもらっちゃって、ありがとうございます。
尚子さんも、いろいろと考えておられるようで、とても心強いですね。
この業界に入って、まだそれほど年月の経っていない今の感度は大切です。
それを忘れずにこれからも未来を見据えた酒造りにお互い精進しましょう。
いつから蔵は始まりますか?
  1. 2007/10/15(月) 09:10:04 |
  2. URL |
  3. 岳志 #-
  4. [編集]

≫梅太郎さん
結局リキュールになっちゃうんですよね。でも確かに、アル添が何であるのか、自分が飲んでいるお酒がアル添酒であるのかどうか、知らない方はたくさんいらっしゃるのでしょう。嗜好品ですから、旨いと思って飲んでいる方々に、『アル添酒はダメですよ!!!』なんては言えないけれど、『純米酒でこんなにおいしいものがあるんだけれど、飲んでみないですか??』って徐々に洗脳していけるのがいいのかな〜と思います。でも、アル添の過去をしっかり伝えたら、その方々はお酒を飲むの止めてしまうのでしょうか…。日本酒の消費って、一部の日本酒ファンの取り合いだって言われることもありますが、底辺を少しずつ広げたいですね。ただ、物産展とかに行くと、『この酒が旨いのは分かるんだけど、いつものパック酒があるから、今更変えるつもりはないよ!』って言われちゃうと、それ以上何も言えなくなっちゃいますね(・_・;)

≫岳志さん
勝手にblogネタを拝借して申し訳ございません。いつも読ませていただいて『うんうん』って納得しているんですが、本当に日本酒ってすごく微妙な立場に立たされているんでしょうね。自分の蔵の中のことも、業界のことも、ふと帰ってきて何も考えずに向かい合ったとき、あまりに色々な問題点や課題があって、直感で感じたことは今でも感じ方は変わっていないのですが、じゃぁそれをどうやって変えていったらいいのか、残していったらいいのか、頭の中がぐちゃ〜ってなっています(@_@;)一個一個整理をして、何から始めればいいのか、慎重になりながらもタイミングを逃さずに進歩していきたいですね。でも、色んな計画を立てて『さぁ始めるぞっ!!!』って意気込んで楽しみではあるけれど、その分不安で不安で仕方がありませんね、正直…。造りはもう間もなくです。22日には杜氏が来ます。待ち望んでいる頭の入場は11月に入ってからです。そろりそろりと始めながら、本格的始動は11月からですね。がんばろ〜!(^^)!
  1. 2007/10/15(月) 10:17:52 |
  2. URL |
  3. naoko@kisoji #JkPZIk6.
  4. [編集]

初めまして

以前から拝見していたのですがシャイで初めてコメントさせてもらいます、長生社さんの所は行くんですが女性杜氏が増えた中でしっかりとした考えを為さってると感心しています、そばもそうですが技術の面では戻る事は生産製や安全面で−だと思います、すると何が原点なのか米や機械の改革も進んでます美味しいお酒を造る環境は昔よりも向上してるはずです、しかし消費者は離れてます一概に他のお酒の種類が増えただけでは無いと思います、此処の処は個性的尚且つ目覚しい日本酒が出てきてると思ってます、しかしそれ以前の日本酒はけして誇れるような商品造りをしていたか否か商業主義的な品造りでは無かったか、そのつけが今来ているのではと思います、これだけでは有りませんが楽して儲けてでは技術の向上も製品の安定も有りません、消費者はちゃんと見るべき処は見ています。
長々と成りましたが此れからも訪問させて貰います。
  1. 2007/10/15(月) 19:18:10 |
  2. URL |
  3. 蕎麦屋のオヤジ #-
  4. [編集]

はじめまして

真剣に日本酒について考えている尚子さまに感銘しました。しかしながら戦後=酒なら飲めればいい
と、そのままの流れできてアル添でもおいしければいい!造り手さんまでもアル添でもそんなに悪くないとおっしゃる方がおられる。
しかし日本酒離れは進行しています。戦後から引き継いだそういう悪い意識改革が必要な時代にきていると思います。どうかおいしい純米酒を造りつづけてください。本物なればいつか絶対に伝わり広まると思います。アル添=本当の日本酒ではないと解釈している素人おやじでした
  1. 2007/10/15(月) 21:52:36 |
  2. URL |
  3. ただの日本酒好き #-
  4. [編集]

あれれ〜さっきアル添はそんなに悪くないと言ってた蔵人さんのコメント消えてる・・・
 私のコメントのせいかな・・・
  1. 2007/10/15(月) 22:24:01 |
  2. URL |
  3. ただの日本酒好き #-
  4. [編集]

誤解を招く文章のようでしたので削除しました。

この件に関しまして僕のブログでも近いうちに取り上げてみることにしました。
迷惑をおかけして申し訳ございません。
  1. 2007/10/15(月) 22:29:44 |
  2. URL |
  3. 醸し屋 カズマ #A1vz8dvw
  4. [編集]

≫蕎麦屋のオヤジさん
はじめまして。コメントありがとうございます。お名前は北原さんのblogで何度も拝見しております(^_^)技術の向上や品質の向上を求めるときと言うのは、どうしても最新技術や見解が絡んできてしまいます。蔵元だって企業ですから、お金儲けもしなくてはなりませんし、そこで商業ベースに物事を考えすぎたために、今の日本酒のような進化を遂げてしまったのでしょうか。私だってもちろん自分のお酒が飛ぶように売れていくことほど嬉しいことはありませんが、その絶対条件はいかに旨い酒、本物の酒を造るかだと思います。少しの妥協なら味に影響はないだろうと思ってしまえば、最終的には大きな違いが生まれてきます。そんな悪循環がきっとここ数年で解かれ、日本酒の明るい未来が待ち受けているような気がします。日本酒業界はダメだなんて言っていたんじゃ、過去を見ているだけなんですよね。

≫日本酒好きさん
はじめまして。コメントありがとうございます。確かに、アル添の技術と言うものも現在では確立されており、そこを追及している杜氏さんたちもたくさんいらっしゃるんですよね。『おいしければ、それでいいじゃん。』私もたまに使う言葉ですが、それは日本酒をまだまだ知らない方に勧めるときに、『自分が美味しいと思うものを選んでみてはどうですか???』と言う意味で使います。そこでアル添酒が選択される事だってもちろんありますし、私も頭ごなしにアル添を否定するわけではありませんが、どうしても『最高級の鰹と昆布で取っただしにわざわざだしの素を入れる』必要はないんじゃないかな〜って感じてしまうのです。最近では、少し敏感になりすぎているところもあり、アル添酒を飲むと少量でも頭痛を感じてしまいます。造り手としてはこれではダメなのかもしれませんが、自分自身でやっぱり純米酒がいいって思えたことは幸せだったかなって思います。

≫カズマさん
いえいえ、全然迷惑だなんて思わないで下さい。私は私の思うところを書いたまでで、また違った考えを持っている方がいて当然だからです。いただいたコメントは読ませていただきましたが嬉しかったですよ。私たちが忘れてはいけないことは、発言に少なからず影響力があるということですよね。造り手から純米酒がいいよと勧められて美味しければ純米酒ファンになるでしょうし、アル添酒がいいよとなれば、アル添酒のファンになるかもしれません。どうしたって、嗜好品ですから、そのお酒に出会った時の状況や人や言葉によって同じお酒でも180度違った印象を持ってしまう事だってあります。責任を持って、発言していかなくてはいけないな〜ってつくづく感じました。ありがとうございます。またカズマさんのblogにもお邪魔させていただきますね!!!
  1. 2007/10/15(月) 23:02:04 |
  2. URL |
  3. naoko@kisoji #JkPZIk6.
  4. [編集]

ありがとうございます。
アル添に関して、思うところを少しブログに書いてみました。

なぐり書きですので、伝わりづらい部分があるかと思いますが、読んでいただけると幸いです。
  1. 2007/10/15(月) 23:52:10 |
  2. URL |
  3. 醸し屋 カズマ #A1vz8dvw
  4. [編集]

そうですね
一番最後の文章が一番正しいね

日本人は生まれて祝い酒
そして七五三や成人式や結婚式などの祝い事にはたまた、新築やら快気祝い、そして人生の幕を閉じる時にも日本酒を頂きますね

人生の節目節目に日本酒が大切な役割を果たしているとも思います。


そういう大切な時にやっぱり、尚ちゃんのお酒だよね〜

ってもちろん普段からなんだけど

そう我々消費者を思わせるお酒をバンバン造っていってほしいです

っつう事を感じました。
(笑)
  1. 2007/10/16(火) 09:10:00 |
  2. URL |
  3. トキ #a2H6GHBU
  4. [編集]

≫トキさん
そうですね。人生にまつわるあらゆる時にお酒って登場するんですよね。日本酒が歩んできた残念な歴史について考えるのもひとつですが、大切にされてきた歴史もしっかり考えないとですね。先日、友人の結婚式に行ったら、最近では珍しく神前式でした。三々九度で杯を交わし、結婚の誓いを交わしているはずなのに、後からその友人に日本酒ってのはね…なんて話したら、三々九度の意味について、いまいちわかっていなかったようです。何だか残念だったな〜(>_<)
  1. 2007/10/16(火) 20:48:50 |
  2. URL |
  3. naoko@kisoji #JkPZIk6.
  4. [編集]

はじめまして

最近、こちらのブログをみつけました。二ヶ月遅れのコメントですみません。自分も純米酒が好きな者です。15年程前に日本酒に目覚め、いろいろ飲んでいるうちに純米の酒が自分に合っているし美味しいなと感じ、純米酒がいいなと思うようになりました。私はただの酒飲みで、たいした事はわからないのですが、自分なりに日本酒に対して思っていた事とここに書かれていた内容が本当に共感することが多いです。あとこれは自分が勝手に思っている事なのですけど、酒蔵の多くはアル添することを是というか前提に酒造りをしておられる所が多く、たとえば日本酒の催事などで酒蔵の方と話す機会がある時でも、へたに純米好きだとかアル添に批判的な事は言えないなという感じをもっていたので、酒造りに携わる方から、本来の日本酒と呼ぶべき物は純米酒であるべきとの考えかたを伺えた事は大変自分としてはうれしく思いました。最後に、理想と現実とはなかなか一致せず大変だと思いますが、いつか全量純米蔵の夢がかなう事を願っています。

長々とコメント失礼致しました。
  1. 2007/12/16(日) 17:24:25 |
  2. URL |
  3. 純米酒好き #-
  4. [編集]

≫純米酒好きさん

はじめまして。コメントをいただきありがとうございますm(__)mしかも、お返事がかなり遅くなってしまいましたこと、お許し下さい。私も日本酒を本格的に飲むようになってから、自分の体自身が純米酒を求めていることに気づきました。そこからアル添の歴史などをじっくり振り返ってみると、やっぱり純米酒を選ぶべきなんだなって実感したのです。確かに、他の蔵元さんが全て純米酒派というわけではないので、蔵元さんとの会話にはかなり気を遣います。アル添はアル添としてしっかり存在している限りは、認め合わなくてはいけない部分も多少あるのかな〜なんて思っています。だからこそ、うちの蔵ではできるだけ純米酒の割合を増やし、お客様に啓蒙し、実際に飲んでいただけるよう(言葉は悪いですが)洗脳する役割があるのかな〜なんて感じています。まだまだ微力な上、実は良くわかっていない小娘ですが、自分の直感を頼りにいい酒造りに向かっていきたいなと思います。是非見守っていただければ嬉しいです!!!どうぞよろしくお願いいたしますm(__)m
  1. 2008/01/09(水) 18:17:13 |
  2. URL |
  3. naoko@kisoji #JkPZIk6.
  4. [編集]

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